30代女性のお客様の場合 肘関節機能障害、醜状障害 併合10級

当事務所において実際に損害賠償請求のお手伝いをさせていただいた案件を時系列に沿ってご紹介させていただきます。守秘義務に反しない安易でのご紹介になります。

1. 事前認定非該当 → 相談ご予約
お電話にてご予約をいただき、ご夫婦でご来所いただきました。
事故直後からのご相談ですので、お手持ちの交通事故証明書、ご自身や同居のご家族の加入されている自動車保険の保険証券をご持参いただきました。
 
2. ご相談
弁護士から今後の手続の流れやご相談時の情報に基づく賠償額の見込み、お支払いいただく費用などについてご説明します。

ケースごとのポイントのご説明

このケースは肘関節の可動域制限が最大のポイントとなります。健側(けがをしていない方)の肘の動きに比べて患側(けがをした方)の肘の動きがどれくらい制限されているかにより後遺障害等級が変わります。
即ち、いつ症状固定をして可動域を測定するかにより可動域制限の程度が異なりそのため賠償額が何百万単位で変わってくること、ベストタイミングでの症状固定により10級10号(患側可動域が健側可動域の1/2以下に制限されていること)の獲得を目指すことをご説明差し上げました。
また、醜状痕については、露出面における手のひら大のものと評価され14級の認定がなされる可能性があることをご説明しました。

損害賠償額の見通しのご説明


10級の認定がなされた場合、損害賠償額は裁判基準(3つの基準についてはこちら)で約2450万円程度になることをホワイトボードに記載しながらご説明します。(ぜひ、メモや写メでホワイトボードの板書内容を記録してください。)

相談料無料であること,費用等その他のご説明

ご相談後、一旦お帰りいただいてご依頼されるかどうか家族とご検討いただき、ご不明な点などがあればご連絡いただくようお伝えして相談は終了です。相談料はいただいておりません。
3. 受任、弁護士の対応
契約書、委任状等の作成、必要書類のご説明
ご相談に来られた数日後にご依頼のお電話をいただきましたので、改めて事務所にお越しいただき、契約書及び委任状の作成や後日の被害者請求に必要な書類等のご説明を差し上げます。

受任通知の発送
委任状等の交付を受けた後、当事務所が受任したことを保険会社等に通知し、損害賠償請求に必要な資料を取り寄せます。

後遺障害等級獲得への戦略,フォロー

今回のケースでは、前述のとおり、ケガの内容が肘脱臼骨折と明白であるため、可動域制限のタイミングのみに焦点を絞り、ご依頼人と主治医との会話内容などを逐一お伺いし、主治医の意向を確認します。
主治医によれば、ご依頼人の肘関節の可動域は良化しています。もちろんお怪我が良くなることは喜ばしいことです。しかし、可動域測定のタイミングは別の問題です。症状固定がちょっと遅くなって可動域が5°多く出てしまっただけで、等級が10級から12級へ、12級から非該当へ落ちかねません、その場合たった5°違うだけでそれぞれ約970万円、1000万円の差が出てくるので、最大限の緻密なフォローをする必要があります。
本件では可動域回復の速度が予想以上に速かったため、当事務所では、事故から6か月経った時点での即時症状固定を予定していましたが、主治医は別の意見を出されているようでした。そこで当職らで話し合いの機会を設け、その結果予定通り事故から6か月経過時での症状固定となりました。

可動域測定

いよいよ、可動域測定本番です。先述のように5°違うだけで大きく賠償額に差が出るため交通事故案件の最大のポイントとなります。
角度計を使用しての測定やその他の可動域測定におけるお願いごとを主治医にお伝えし、無事10級を獲得できる数値を後遺障害診断書に記載いただきました。

肘関節健側可動域他動値155°
肘関節患側可動域他動値060°
155°:60°=1:0.38=可動域制限1/2以下

被害者請求手続(後遺障害等級認定手続き)


これらのお手伝いにより出来上がった後遺障害診断書を添えて損害保険料率算出機構へ被害者請求手続きをします。
また、醜状障害については、山口市にある損害保険料率算出機構へご依頼人とともに出かけ、醜状痕測定に立ち会います(ご本人については山口市までの交通費が機構より一定額が出されます。なお、ご依頼の方は弁護士費用特約を付けられていませんでしたので、本来であれば当職の出張日当や交通費をご負担いただく必要がありますが、賠償額が大きいため、日当及び交通費はいただかないことにしました)。
後遺障害等級獲得、自賠責保険金額のご依頼人への着金手続き


被害者請求の結果、無事併合10級が認定されました。
肘関節可動域制限10級10号
露出面醜状障害14級5号
併合10級(上位等級に繰り上がるためには13級以上の等級が必要です。本件では10級+14級なので10級のままとなります。)
被害者請求手続きをとった場合、後遺障害等級に応じて支払われる保険金は保留されることなく指定口座に直ちに振り込まれます(その他被害者請求手続きのメリットのご説明はこちら)。当事務所では,当事務所預り金口座に振り込まれるよう手配しておりますので,本件では10級自賠責保険金461万円のうち当事務所の費用を一旦差し引かせていただき、残額をご依頼人の口座に振り込みます。(弁護士費用特約に加入されている場合は,当事務所の費用を一切差し引くことなく全額をご依頼人へお戻しできます。)

(自賠責保険からの保険金支払い)


被害者請求手続の一つの大きなメリットは、このケースのように、まず後遺障害等級が出た時点で一旦自賠責保険金をご依頼人にお戻しできることです。被害者請求手続きの対となる相手方保険会社による事前認定手続では、すべての示談手続きが終わるまで基本的に被害者の下へお金は支払われません。(被害者請求手続きの概要についてはこちら)
本件では、これ以上の等級は見込めないため、異議申し立てなどの手続きはせず、直ちに相手方保険会社との示談交渉に移ります。
4. 相手方との交渉
弁護士から相手方保険会社への提案
被害者請求により獲得した後遺障害等級併合10級をもとに相手方保険会社と示談交渉を開始します。
逸失利益は稼働上限67歳まで,労働能力喪失率は27%,後遺障害慰謝料は赤い本550万円をベースとした請求内容です。

相手方保険会社からの対案
相手方保険会社は当方に過失が1割ある旨の主張をしてきましたが,過失を基礎づける事実が存在しないことを訴え,100対0であることを認めさせました。

ご依頼人への途中経過の報告,決済伺い
ご依頼者に相手方保険会社と当職らとの交渉内容を報告し,現段階での提示額で示談されるか,或いはさらなる増額の可能性を求め時間をかけて紛争処理センターや裁判手続きに移行するかをご検討いただきます。
本件では,自賠責(10級461万円)と併せて2261万円を獲得されたことでご納得されたため,相手方保険会社との示談で終結となりました。ここまでご覧いただいたように,交通事故案件では,等級を取った後の交渉・訴訟ももちろん重要ですが,それ以上に適切な後遺障害等級を獲得することが最重要であることがお分かりいただけるのではないかと思います。
5. 事件終了
弁護士費用を清算したうえで(先に差し引かせていただいた自賠責回収分は除きます)、速やかに賠償金をご依頼人の銀行口座に振り込みさせていただきます。
お預かりした資料等についても、ご来所いただいて返却し、事件終了となりました。

事例ごとの相談の流れ

事例①

むち打ち

50代女性のお客様の場合
局部神経症状
非該当→異議申立14級9号

事例②

肘関節機能障害
醜状障害

30代女性のお客様の場合
肘関節機能障害、醜状障害 併合10級

事例③

高齢者死亡事故

80代女性のお客様の場合
死亡事故

事例④

腰椎圧迫骨折

40代後半女性のお客様の場合
腰椎圧迫骨折11級7号

事例⑤

股関節機能障害等

60代後半女性のお客様の場合股関節機能障害、腰椎圧迫骨折