修理費

交通事故によって車両が損害を受けた場合、まず問題となるのが修理費用です。 この修理費用と事故車両の時価額の関係により、損害の扱い方が大きく変わってきます。

修理費用 > 時価額原則として全損扱い(経済的全損)
修理費用 ≦ 時価額修理費用の請求

修理費用が車両の時価額以下の場合は、修理費用が損害賠償の対象となります。一方で、修理費用が時価額を上回る場合は、技術的に修理可能であっても原則として全損扱いとなり、損害賠償は時価額までとなります(経済的全損。時価額に買い替え諸費用を合わせたものが上限となります。) この理屈は、示談交渉がまとまらず、裁判になったとしても変わらない枠組です。

経済的全損についての実務上の取り扱いは、被害者の方にはかなり辛い取り扱いになっております。その分お怪我の賠償でしっかりと賠償額を獲得することなどの手段により、被害者の方のご心情に応えていくように賠償のお手伝いをさせていただいております。

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評価損(格落ち損)とは

評価損とは、事故により修理を受けた自動車の市場価値が、事故前と比べて下落することによって生じる損害です。事故車両と認識されることで、中古車市場での評価が下がるためです。

評価損の算定方法

評価損の算定には、主に以下の3つの方法が用いられます。

  1. 定率法: 修理費の一定割合(通常10%~20%)を評価損とする簡便な方法です。
  2. 差額法: 事故前後の市場価格の差額を評価損とする方法で、より正確な算出が可能です。
  3. 個別鑑定: 専門家による個別の鑑定評価を行う方法で、特殊な車種や状況に対応できます。

評価損が認められやすい条件

評価損は全ての事故で認められるわけではありません。車両の状態や年式によっては認められない場合もあります。

以下の条件を満たす場合、評価損が認められやすくなります。

  • 事故による損傷が大きく、修理費用が高額である
  • 車両の年式が新しい
  • 走行距離が少ない
  • 修理箇所が車体の重要な部分(フレームなど)である

代車費用

ここでは、代車に関する一般的な解説をしております。より詳しい解説はこちらをご覧ください。

代車費用についての詳しい解説

目次1 代車の必要性1.1 営業用車両の場合1.2 自家用車の場合1.2.1 通勤や通学の用に供されている自家用車1.2.2 趣味やレジャーの用に供されている場合1.2.3 代替車両や代…

・代車を使用する必要性があること

代車使用料(代車料)が事故と相当因果関係のある損害として認められるためには、代車を使用する必要性があることが要件の一つとされています。裁判例では、営業用車両については代車の必要性を認めることが多いですが、自家用車については使用目的によって異なります。

・自家用車の場合

通勤や通学の用に供されている自家用車については、直ちに代車の必要性が否定されることはありません。趣味やレジャーの用に供されている場合でも、事故前に具体的な使用計画が存在していた場合は、代車の必要性が認められる余地があります。

代替車両や代替交通機関が存在し、その使用が可能な場合には、代車の必要性は否定されることが多いです。しかし、代替交通機関の利用が不便な場合などでは、代車の使用が認められることがあります。

・裁判例での代車費用

裁判例では、営業用車両が使用不能になった場合には代車の必要性が認められることが多く、自家用車の場合でも、通勤・通学や日常生活に不可欠な使用目的がある場合には、代車の必要性が認められることがあります。具体的な使用計画が存在しない場合や代替手段がある場合には、代車の必要性は否定されることがあります。

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休車損害

交通事故で車両が損傷し、修理期間中に車両を使用できない場合に発生する経済的損失が休車損害です。

休車損害が認められるための要件

休車損害が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 相当性: 事故と修理による休車期間の間に因果関係があること。
  2. 必要性: 修理期間中の車両の使用が業務上または生活上必要不可欠であること。

休車損害の考え方

休車損害は、車両が使えなかったことによって実際に被った損失を補償するものです。 実際に車両を使用していた場合に得られたであろう利益の損失が対象となります。休車損害ではなく、運行供用利益の喪失による損害賠償請求を行うほうが得策との考え方もあります。

休車損害が認められない、または減額される場合

  • 代替・遊休車両の考慮: 代替車両を所有・使用している場合や、事故車両が常に使用されているわけではない場合は、休車損害が認められない、または減額されることがあります。
  • 損害回避義務: 被害者には、損害を最小限に抑えるよう努める義務があります。レンタカー等を利用して可能な限り損害を回避する必要があります。

休車損害の算定

休車損害の算定方法は以下の通りです。

  1. 1日当たりの利益の算出: 事故前の一定期間における売上や利益から1日当たりの利益を算出します。売上高(運賃収入、事故直前3か月間)ー経費(人件費は控除しない考えが多数)で計算することが一般的です。
  2. 休車日数の算出: 修理期間や車両の買い替え期間など、実際に車両を使用できなかった日数を算出します。
  3. 休車損害の算出: 1日当たりの利益と休車日数を乗じて休車損害を算出します。

休車損害請求時の注意点

  • 損害回避義務: 損害を最小限に抑えるための努力をしたことを証明する必要があります。(例:代替車両の手配、早期の修理依頼、保険会社への連絡)
  • 立証責任: 休車損害が発生したことを証明する責任は被害者側にあります。必要な書類を準備し、損害の発生と金額を明確に主張する必要があります。

物損の慰謝料

物損事故における慰謝料請求は、実務上は原則として認められないとされています。

しかし、法律の規定では、民法710条が、「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」と規定しています。

そこで、物損が生じた事案において、どのような場合に慰謝料請求が認められるのかについて、以下説明いたします。

物損の慰謝料の要件

慰謝料請求が認められるためには、「特段の事情」が必要とされています。この「特段の事情」とは、以下の2つの場合があります。

  1. 被害物件が被害者にとって特別の主観的・精神的価値を有する場合: 

もっとも、そのような価値が社会通念上相当と認められることが必要であり、単に財産的損害の賠償だけでは償いきれないほどの精神的苦痛を被った場合に限られます。

  1. 加害者が悪質な反社会的、あるいは害意を伴うなどの行為を行った場合:

財産に対する被害であっても、著しい精神的苦痛が慰謝されるべき場合です。

具体的には、被害物件が特別の愛着を持っていた乗物、深い敬愛と慈愛の念を抱く墓石・骨壺、代替性のない芸術作品などである場合や、飲酒運転や当て逃げなどの悪質な事故の場合が該当します。

裁判例

裁判例を見てみると、最高裁は財産権侵害の事案で慰謝料を認める余地があることを認めています。下級審裁判例(交通事故の場合)では、被害物件自体に特別の主観的・精神的価値がある場合や、事故態様が極めて悪質な場合に慰謝料が認められる傾向があります。

被害物件が車の場合、否定例が多く、事故態様が極めて悪質な場合に慰謝料が認められるケースがあります。当て逃げの被害者が精神的に苦痛を伴う場合も該当します。

加害者側に著しい理由がある場合、飲酒運転や当て逃げの事例で、加害者側の対応に対して独立の慰謝料を認めるものと解される裁判例があります。ただ、加害者の事情のみで慰謝料が認められるケースは少なく、被害物件に特別な価値がない場合や、他に被侵害利益を肯定すべき事実関係がない場合は、飲酒運転や当て逃げといった事実だけで独立の慰謝料を認めるのは難しいと考えられます。

慰謝料の額

慰謝料の金額は事案ごとに異なりますが、物損事故における慰謝料請求は、被害物件の価値、加害者の行為の悪質性、被害者の精神的苦痛などを総合的に考慮して判断されます。認められる場合は、数万円から数十万円程度の慰謝料が認められる傾向があります。

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