肩の痛みや動きの悪さを感じたら
交通事故で肩を痛めたけど,痛みの原因がわからず,このままで示談を進めてもよいのかとのご相談をよくお受けします。
肩関節の後遺障害の多くは,関節の動きが悪くなる可動域制限(機能障害)です。
肩関節は,手関節や肘関節等と異なり,非常に複雑な動きが可能になっており,どこかに損傷が生じた場合,筋や腱にかかる負担は大きくなり,他の組織への影響が大きくなります。
例えば,
①上腕骨骨頭を取り巻く棘下筋・棘上筋・小円筋・肩甲下筋腱を損傷することで肩の痛みや可動域制限が生じる腱板損傷,
(腱板損傷の一例)
②関節の動きをスムーズにしたり,骨と骨との衝突の衝撃を緩和したりするための関節唇を損傷する一例として肩関節上方関節唇損傷(SLAP損傷),
(上方関節唇損傷(SLAP損傷)の一例)
③鎖骨と肩甲骨烏口突起とをつなぎ肩関節の安定させる烏口鎖骨靭帯(円錐靭帯・菱形靭帯)が断裂することで,腕の重みに耐えられず鎖骨が上方へ離れてしまうことなどにより生じる肩鎖関節脱臼
など様々な部位に障害が生じる可能性があります。
このような肩関節の痛みや動きの悪化について原因を探ることはのちに後遺障害が残存した場合に極めて重要な作業になります。
というのも,相手方保険会社や自賠責調査事務所は,痛いとか動かないとかだけでは後遺障害を認めてくれません。痛いのはなぜか,動かないのはなぜかをちゃんと被害者側で証明しなくてはいけないのです。
また,主治医も必ずしも複雑な構造を有する肩関節の専門家とは限りません。的確な傷病名が診断されないまま,原因がわからないまま時間だけが過ぎてしまっている事例も残念ながら多々見受けます。
さらに,この原因判別作業が遅れると,仮に腱板損傷などの原因が判明したとしても,今度は,「その腱板損傷は事故によるものではないので,後遺障害には当たりません」などと言われ事故との因果関係が争われてしまうわけです。
このように,肩の痛みや動きの悪さの原因を適時に調査することは極めて重要なことです。
当事務所では,各地域の専門家の医師に協力を仰ぐことやMRI画像を専門機関に鑑定依頼するなど,情報収集や各種機関との連携強化に努め,痛みや可動域制限の原因を追究しています。
これまでも,当事務所では,明らかになっていなかった腱板損傷や上方関節唇損傷を発見し診断書への記載をお願いし,また肩鎖関節脱臼に至る経緯をカルテを取寄せて補足説明するなど協力医などのお力を借りながら,適切な後遺障害等級を獲得できるように常に努力し続けています。
交通事故に遭って,肩の痛みや動きの悪さに困ったらすぐに当事務所に一度ご相談にお越しください。もちろん,意思ではないので診察はできませんが,今後の交通事故の示談手続きや後遺障害等級認定手続きの流れ,早期に的確な診断を受けることの重要性などを丁寧にご説明差し上げます。
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