聴力障害(難聴)の認定

聴力障害の等級認定は,両耳と一耳それぞれの聴力の程度を図ることで行います。

聴力検査の実施時期などについては,詳細なルールがありますが,基本的には日を開けて3回,検査と検査の間を7日程度空けて行います。

検査結果のうち,2回目と3回目の測定値について,それぞれ6分式により平均純音聴力レベルを求め,その数値の平均値を採ります(例外もあり)。

例えば,下記の事例。

オージオグラム

6分式とは,①500Hz,②1000Hz,③2000Hz及び④4000Hzの音に対する聴力レベル(図のえんじ色で囲った部分)を測定するものですが,②1000Hz及び③2000Hzの数値については2倍(図の赤色で囲った部分)にし,これらの合計を6で割ることで求めます(それ以外の例えば8000Hzなどの数値は6分式では評価しません)。

①+2②2③+④)÷6

掲載の事例では,2回目の聴力検査と3回目の聴力検査,左右の耳の平均純音聴力レベルは,

Ⅰ:2回目 左(×印)

(①500Hz=65,②1000Hz=55×2=110,③2000Hz=55×2=110,④4000Hz=70)=355/6=平均純音聴力レベル59.16db

Ⅱ:3回目 左(×印)

(①500Hz=70,②1000Hz=50×2=100,③2000Hz=65×2=130,④4000Hz=70)=370/6=平均純音聴力レベル61.67db

Ⅲ:2回目 右(○印)

(①500Hz=65,②1000Hz=45×2=100,③2000Hz=45×2=120,④4000Hz=60)=305/6=平均純音聴力レベル50.83db

Ⅳ:2回目 右(○印)

(①500Hz=60,②1000Hz=45×2=100,③2000Hz=40×2=120,④4000Hz=70)=310/6=平均純音聴力レベル51.67db

となります。

そこで,左耳の2回目と3回目の平均純音聴力レベルの平均値(Ⅰ+Ⅱ/2)は,59.16+61.67/2=60.41

同じく,右耳の2回目と3回目の平均純音聴力レベルの平均値(Ⅲ+Ⅳ/2)は,50.83+51.67/2=51.25

(2回目と3回目,ここでいうⅠとⅡ,ⅢとⅣの結果に10db以上の差がある場合は,さらに聴力検査を重ねますが,本件では該当しないため追加の検査はしません)

本件では,両耳の平均純音張力レベルが50db以上となり,「両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの」に該当するので,第10級5号に認定されます。

聴力等級

(実際の認定表の例,耳鳴りについてはまた後ほど)

 

このように,聴力障害について等級を獲得するためには,後遺障害の認定に詳しい弁護士と同じく後遺障害の認定について理解のある医師の協力が不可欠です。必要な検査とその方式の分かる弁護士から,必要な検査とその方法を理解いただいている医師への依頼が必要なのです。

当事務所では,聴力障害に限らず,地元に密着し医師面談などを重ねお医者さんにご協力をいただき連携を深め,また医療機関の情報を絶えず収集しながら適切な後遺障害等級の認定を実現すべく努力しております。

聴力障害やその他後遺障害等級の認定についてご不安や疑問をお持ちの方は,ご遠慮なく当事務所交通事故専門フリーダイヤルにご連絡をいただければと思います(0120-25-3354 土日祝問わず9時から21時まで)

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吉岡 誠
弁護士法人あさかぜ法律事務所 代表弁護士 「明けない夜はない」を胸に依頼者とともに。 相談の席で弁護士が真摯にお悩みを受け止めることで、心と体の重荷が解き放たれる。 癒えた心で法的助言を聞き、新たな未来の光を見つける。 その後、依頼者と弁護士が共に歩み解決へ。 明けない夜はありません。