関節拘縮による可動域制限 非該当→10級11号獲得
関節の可動域に制限が生じた場合,骨折などの器質的損傷がないと自賠責ではなかなか後遺障害に認定されません。「提出の画像上,当該部位に骨折等の外傷性の異常所見は認められない」との定型文句でバッサリです。
拘縮による可動域制限(拘縮とは,皮膚,筋,腱,靭帯,関節包など関節周囲の組織が収縮又は短縮して関節の可動域が減少した状態をいいます)も同様に,骨折等の外傷性の異常所見は認められないとして非該当(又は神経症状の14級9号)とされることがほとんどです。
しかし,裁判例では骨折などの器質的損傷がない場合でも機能障害を認めたものもありますし,実際に「動かさない」のではなく,事故により「動かなくなった」のであれば,機能障害として認めることが公平にかないます。
当事務所では,足関節の拘縮について非該当となった事例について,足指の複数の骨折があることや症状や治療経過を検討し,証拠を整えて,異議申し立てをすることで,拘縮による可動域制限について10級11号を獲得しました(足指の用廃12級12号と併せて併合9級)。
近接する足指の多発骨折が骨癒合する際に周囲組織と癒着し器質化した結果足関節の拘縮を生じたこと,足指骨折が転移を伴う重大な損傷であること等について詳細な意見書を作成いただいた主治医の親身のご協力を仰げたことが非該当判断を覆す大きな原動力になりました。
被害者の損害の適切な救済・解決のため,当事務所では,一見妥当と思われる後遺障害等級についても,注意深く検証を行い,医師との連携のうえでより適切な後遺障害等級の獲得を目指し事務所一同で一丸となって取り組んでおります。