むちうちも後遺障害にあたります
むち打ち 頚椎捻挫,頚部挫傷,外傷性頚部症候群様々な診断名が下されることがありますが,往々にして,時間が経てば治ると言われたり,そんな痛いはずはないなどと詐病扱いにされ,被害者の方も今一つ自信をもって交通事故によるケガであると主張しにくいところもあるようです。そのため,保険会社から治療費を事故から3か月程度経過したところで治療費を打ち切られ,保険会社のいうがままに低い提示額で示談をしてしまい,以後の自費での治療に負担を感じられておられる方が多くみられます。
しかし,むち打ちは立派な後遺障害です。適切な後遺障害等級認定手続きをとることにより,将来の治療などに備えての十分な賠償額を獲得することができる12級や14級に該当する可能性のある後遺障害なのです。
むち打ちの後遺障害等級
むち打ちについて後遺障害等級の認定がなされる場合,12級又は14級のいずれかになります。しかし,14級にも該当しない非該当との判断が下されることも多いのが現実です。
等級自賠責限度額裁判基準
後遺障害慰謝料
逸失利益
労働能力喪失率,期間
裁判基準
後遺障害慰謝料,
逸失利益合計
12級13号221万円290万円14%,10年以下約660万円
14級9号75万円120万円5%,5年以下約195万円
非該当0円0円0%,0年0円

裁判基準後遺障害慰謝料,逸失利益合計額は平均的な数値(主婦年収約350万円として)を挙げています。12級と14級の違いは下記をご覧ください。また14級と非該当の境目は下記にも述べますように非常に不明瞭で明確な分岐点はありません。しかし,上記表のように14級とされるか非該当とされるかにより約200万円弱の差が出てきてしまいます。
そこで,以下にむち打ちで後遺障害等級を獲得するための準備の仕方などをご説明いたします。
むち打ちで後遺障害等級を獲得するためには
実務上,12級は「障害の存在が医学的に証明できるもの」,14級は「障害の存在が医学的に説明可能なもの」又は「医学的には証明できなくとも自覚症状が単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの」という基準が採用されているといわれています。証明できれば12級,証明まではいかないけど説明できるのが14級ということになりますが,どう違うのかを明確にとらえることは困難を伴い,事故直後から症状固定に至るまでに出来るだけの資料を整えて等級獲得への準備をすることが重要になります。
準備すべき資料として客観的な画像所見であるMRIやCT画像などは必須です。
これらに加え,以下の客観的な検査所見を集め,その客観的所見と自覚症状との間の整合性があれば12級獲得の可能性が高まってきます。
以下に,等級認定において重要視されている検査を紹介いたします。

スパーリングテスト(神経学的検査)

スパーリングテストとは,神経根障害について調べる神経学的テストです。被検者の頭を傾けて下方に押し付けると神経根の出口が狭められます。神経根に障害があれば,神経根の支配領域に放散痛やしびれが生じるため放散痛等の訴えの有無を検査します。同様の検査に,ジャクソンテスト等があります。

腱反射テスト

腱反射は被検者の意思に左右されない客観的なものであるため,後遺障害等級認定において重要視される神経所見です。打腱器で腱を叩くと筋肉が動きますが,これは被検者がコントロールすることができないものです。例外もありますが,腱反射に亢進があれば大脳の運動神経から脊髄前角細胞に至る一次ニューロン(神経細胞)に何らかの異常があることを示し,一方で腱反射が低下又は消失している場合は,脊髄前角細胞から神経根,筋肉に至る二次ニューロン(神経細胞)に異常があることを示します。 

筋萎縮検査

脊髄前角細胞から筋肉に至る二次ニューロン(神経細胞)に障害を生じた場合,び漫性に又は該当する末梢神経の分布に従い筋が委縮します。これは被検者の意思に左右されない客観的な所見であるため,後遺障害等級認定手続きにおいて重要視されています。

上記の3つの検査は,客観性が高く等級認定手続きにおいても重要視されています。
当事務所では,むちうちの症状がある被害者の方の場合,これらの検査結果を踏まえた後遺障害診断書の作成をお願いし,必要に応じて医師面談を行い意見書の作成をお願いするなど適切な後遺障害等級獲得のためのサポートを全力で行っております。

非該当と判断されやすい事例

上記で述べましたように14級と非該当との境目は非常に見えにくく,同じようなケース間でも14級と判断されたり,非該当と判断されたりすることは多々あります。その中でも,以下のようなケースでは残念ながら非該当と判断されることが多いのが現実です。

治療期間が短い(痛くないと判断される)
1か月以上の治療ブランクがある(同様に痛くないから通院しないと判断される)
自覚症状が一貫しない(不定愁訴,単なる故意の誇張に過ぎないと推定される)

しかし,これらに該当する被害者の方の中には,

お仕事が忙しく通院の時間が取れない方
様々な痛みをうまく医師に説明できず結果的に不定愁訴になってしまっている方
保険会社から治療費を打ち切るといわれて泣く泣く治療期間を短く打ち切った方

が多数おられることが容易に想像できます。
痛くて通院しようにも仕事が終わった頃には既に整形外科が閉院していて通院できない。
医師にどう伝えていいかわからないけどとにかく痛いのに保険会社が治療費をこれ以上出せないといって示談を迫ってくる。
といったお悩みをお持ちの方に方こそ,事故直後から専門知識を有する弁護士のサポートをお受けいただき,適切な後遺障害認定手続きをとっていただきたいと思います。

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