後遺障害に関する主な損害賠償の費目である,逸失利益(後遺障害がなければ働く力が落ちずに得られていたであろう収入等の利益)や後遺障害慰謝料は後遺障害等級により差が設けられているからです。
非該当であれば,逸失利益,後遺障害慰謝料とも基本的に0円です。
例えば,逸失利益は,基礎収入(前年度年収など)×喪失率×喪失期間で計算されますが,むち打ち第14級9号であれば,一般的に,喪失率は5%,喪失期間は5年のライプニッツ係数4.3295となります。
これに対して,むち打ちでも12級13号であれば,喪失率14%,喪失期間10年のライプニッツ係数7.7217となり,14級9号の場合に比して約4倍となります。
同様に,後遺障害慰謝料も,後遺障害等級に従って定められており,14級であれば裁判基準で110万円,12級であれば290万円と大きな差が出ます。
当事務所では,非該当を14級,12級,10級に上げた事例,11級を9級に上げた事例などがありますので,一部をご紹介させていただきます。
Case5 足関節の可動域制限について,拘縮を原因として器質的損傷の存在を立証し,10級11号を獲得しました。
Case6 他の事務所にて,相手方保険会社による事前認定手続きに任せておけばよいといわれ,不安になって当事務所にお越しいただきました。
可動域制限の評価方法を誤っており,相手方保険会社に任せたままであると,不当に低い後遺障害等級にて賠償手続きが進む恐れがあったところを当事務所にて異議申立てを行い適切な等級を獲得しました。
さらに,むち打ちではなく,大腿骨骨折,前十字靭帯損傷,腱板損傷,三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷など,骨折や靭帯損傷といった器質的損傷の場合は,本来の適切な後遺障害等級と非該当・低い等級との賠償額の差額がより広がってきます。
なぜならば,骨折や靭帯損傷などの場合は,12級にとどまらず,10級や9級などより高い等級が適切な場合もあるため,逸失利益の計算における喪失率も大きくなり(10級で27%,9級で35%など),喪失期間も5年や10年ではなく,67歳までの全期間(67歳以上の方の場合は,平均余命の半分)とされるからです。
また,症状固定後は,相手方保険会社からの治療費の支出は基本的にはありません。ですので,症状固定後の治療費は基本的に被害者が負担する必要があります。
将来の治療費に備えるため,又働けなくなったことで減ってしまった収入を補てんするためにも,裁判基準に従った適切な賠償額を獲得する必要があり,そのためには適切な後遺障害等級を獲得する必要があるといえます。
もちろん,事故直後から,後遺障害が残ることに備えて,適切な準備活動をすることが最善であり,当事務所の交通事故の被害者救済活動も事故直後から行うことで最善の結果を残しております。
しかし,事故直後から準備していなかったとしても,非該当や低い等級が出た後であってもあきらめないでください。
当事務所では,被害者の将来の不安を除くために,適切な後遺障害等級獲得に力を入れており,資料を丁寧に読み込んだうえで,適切な後遺障害等級の獲得のために,あらゆる努力をしております。
どのような医証が必要となるかを検討し,医師面談や医師の意見書作成など医師との協力体制の強化に努め,また,被害者と密に連絡を取り,労災や身体障害者手帳交付の手続き,他の保険・共済(人身傷害補償特約,搭乗者保険,県民共済,傷害保険など)のフォロー等も行い,不安なお気持ちをなるべく無くしていただけるよう事務所一同で解決にあたる体制を構築しております。